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3.3.3.2経緯
大西洋上のMNPS空域での飛行のリスク統計のためCMA(Central Monitoring Agency)を設定したが、その統計によると1995年頃約2ヶ年間でWPの挿入、及びその他の手順エラーが著しく増加し全横方向航法エラーの70%に達するようになったことが認められた。これが低下すれば航空機容量が増加できるので、その対策としてFAAはパイロット教育の他長期計画としてFTMI(Flight Operation and Air Traffic Management Integration)プロセクトの下でFMS,FAAのATC基盤、及びエアラインの運航統制機能を一つに纏め単一で、シームレスな一体化システムとする構想が設定された。この過程でGNSSの空間位置データーをGNSSべースのRF信号で近傍機に配布するコンセプトが浮上した。これによれば位置保持、及び通過動作と同時に近傍機、ならびに衝突脅威機についての警報の付加手段(TCAS以外)が得られることになり、総合的FTMIコンセプト内でのGNSSの空体空監視の概念が確定してきた、これがGlBSである。
洋上運航用にCDTIを研究していた1992年GAの空中衝突事故が発生した。NTSBの統計によればGAパイロットに低価格のトラフィック認識が与えられれば年間10〜15件の衝突が防げることになる。またこの段階で、ソフトウェアと共に多機能計算機、表示装置を一体化すればGA、AC両者において空中衝突防止の他空港面事故の防止にも役立つことが認められ、SASコンセプトの基盤が設定された。
3.3.3.3 SAS
コックピットに情報を集中するSAS(Situation Awareness for Safety)には、航空機システムの状態(機体の氷結、オートパイロット、又はFDのモード情報等)、外部の運航環境の情報(地形、トラフィック、気象情報等)の他自機の意図情報等を含むもので、このようなリアルタイムの情報はパイロットの決心過程に重要な役割を果たす。このSASコンセプトは図3.3−3−1に示すようにコックピット中心の状況認識であり、SASは状況認識問題に真のシステム的解を与えるものである。
SASでは、FAAが現在所有、運用している航空機と気象の監視のための地上べースの計算機システム依存から、地上べース監視の戦術的支援のない効率的で、自動的な航空機分離の机上/コックピットワークステーションの分散型PCべース方式へ移行することになる。自由飛行コンセプトは航空交通の戦略的計画の枠内でユーザーが選択した経路を飛行しながら自由な空域内における自主的運航によるメリットの得られる直近のコンセプトである。従って、これは管制官を否定するものではなく、寧ろその役割とミッションの重点が戦術的ATCより戦略的ATMのトラフィック管理者へ移行したと考えるべきである。SASはグローバル的見地からのコックピット・オートメーションであり、乗員が常時ループ中にあって、実際の航空機の安全性に関する最終決定者である。これが代表的パイロット・コマンドコンセプトであり、J.Lynn Helms前FAA長官の“We must recognize it is not our airspace-its theirs.We are merelypaid to help them use it safely”の趣旨に沿うものである。図3.3.3.2にはSAS機上システム手法の概念図が示してある。SASはまた図3.3.3−3(図は地勢例)に示す複雑な2次元、及び

 

 

 

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